SSブログ

恋愛力!? [leggere -読書-]

あまりこの手の本は手にとらないのですが、著者は「声に出して読みたい日本語」の齋藤孝氏。いったいどんな『恋愛力』を語っているのか?図書館でチラっと見たら面白そうだったので、借りてみました。  

ここでは「恋愛力」は「コメント力」と定義されています。顔でも金でも権力でもなく、必要に応じて上手い言葉を操れる男が結局はもてる!という持論を、様々な小説やドラマを例にとって展開。
村上春樹作品の登場人物についてはとにかく大絶賛しています。このほめっぷりがおもしろいです。

『風の歌を聴け』は”私たち男性がまねすれば、絶対にもてるだろうという恋愛力にあふれたコメントが
大量に発見できる。まさに恋愛力のバイブル的作品と言える。”そうです。
数々の例を挙げて、「すばらしい会話だ」「参考にしたい技だ」はては「この展開でからめ取られない女の人は日本にいるだろうか」と大絶賛しておられる。しかし、ふつーまねできないよ!というものばかりな気がしておかしい(笑)齋藤氏自身、「日本人でここまで格好をつけて言える人はいないだろう。日常会話でこれをやったら、完全に浮くか、頭がおかしいと思われるに違いない」と言っている箇所もあり、どっちやねん!!と突っ込まざるを得ない。

『1973年のピンボール』では、”当たり前のコメントを避ける技”を。
ここでの「僕」(主人公)の会話を追っていくと、”意外に論理的なことがわかる。女性はもしかしたら論理的能力の高い男にセクシーさを感じるのかもしれない。”ときて、”社会ができる男より、数学ができる男のほうがフェロモンが飛んでいそうな気がする。”と齋藤氏は語る。・・・そうなのか(笑)数字に強い人=フェロモン飛んでるとは思えないけど、こうして説明されるとそんな気がしてくるから不思議・・・。

『ノルウェイの森』は”高度な恋愛力がつまっている、高度なテキスト”らしい。
-「じゃあ私のお願いをふたつ聞いてくれる?」
-「みっつ聞くよ」 ・・・ノルウェイの森(上)より
”聞くだけならタダだから、100でも聞ける。さすが村上春樹!”とここでも絶賛(笑)
調子にのって「100個でも200個でも聞くよ~」と言ってしまったらギャグになっちゃう訳ですね。
参考になりますわ。
他に、”なんとも言いようがない変なものに対してコメントを求められたときの対応。”として比喩を使う例もありました。「変」と答えるのではなく、「ユニーク」とか「独創的」という単語をちりばめて答えるべきだそうです。直球勝負はだめらしい。-齋藤氏の若い頃の失敗談:歯の矯正をしている女の子に「これはおかしい?」と聞かれて、正直に「おかしいと」答えてしまったとのこと。この女の子は今は齋藤氏の奥様になっておられるのですが、いまだにそのことを責められ続けているそうです。・・・ご愁傷様ですね。
”春の熊くらい君が好きだ”の箇所にある一連のコメントは、村上春樹小説の中でも秀逸であるらしい。
-「あなたって表現がユニークね」といわれ「君にそう言われると心が和むね」と僕は笑って言った。
をうまい会話だと褒めちぎる齋藤氏。奥様からよく「バッカじゃないの」と言われるそうですが、”次から「君にそう言われると心が和むね」と言ってみよう。これは使える。”とおっしゃる齋藤氏・・・。
やめた方がいいと思うのは私だけでしょうか。私が奥様なら、こっそり精密検査申し込んじゃうと思いますが。脳波とったら変な音楽奏でてた、とか嫌ですよそんな旦那・・・。
注意事項として、”コメントはよく練ってから言うべきである”とのこと。でないと、突っ込まれたときに破綻してしまうから。そりゃそうだ。私のような自称つっこみ上手は、天敵扱いされてしまいそうです。

村上春樹作品をこういう視点で読んだことがなかったので、もう一度読み返したいと思いました。

次にやり玉(?)に挙がっているのが『冬のソナタ』、”天下無敵の純愛「恋愛力」”だそうです(笑)
ピンポイントで例を挙げ詳しく解説されているので、冬のソナタを全く見たことがない私でもだいたい理解できました。”どうころんでも自分が勝つ無敵の質問”や”カルト宗教の手口に似た”やり方を「うますぎる展開だ」と褒め称える。また、”弁証法を取り入れた口説きテクニック”や”ビジョンと戦略”を解説し、すごい男だ!とまたまた絶賛。(そんな齋藤さんを私はスゴイと思う・・・。)何を言われても自分にいいようにしか解釈しない、我田引水的な生き方をするこのタイプ、実は私が最も弱い相手かもしれない・・・。自由奔放に見えて実はふわふわ漂っているだけだったので、嵐のような強引な人間に巻き込まれやすかった自分の過去を思い出してちょっと痛い(笑)。

他に『金閣寺』(三島由紀夫)でレアな例を、『三四郎』(夏目漱石)でダメな例などを。
三島由紀夫なら『春の雪』のほうが・・・と思ったのですが、紹介されているのは主人公ではなく、脇役の男性。同じような例として『罪と罰』のラスコーリニコフが挙げられていましたが、どちらも私は好きになれなかったので、レアなタイプには当てはまらないと思われる。シベリアへは絶対行きたくない。

最後に、『いま、会いにゆきます』や『電車男』を例にとり、普通の人にもまねできる「恋愛力」の基本が紹介されていますが、どちらも見ていない&読んでいないし、さほど・・・という感じでした。大抵の場合、一般論ってそんなに面白いものでもないですしね。

今さら言うのもなんですが、この本は男性向けです。なので、私は読んでもどうしようもないのですが、「恋愛力」より齋藤さんの「つっこみ力」が非常に参考になりました。なかなか面白かったです。

「ゆとり」から脱却し、生きる力につながる「言語活動の充実」が重要視されていますね。その教育が成功し、豊かな言葉の力を身につけた子供達は「恋愛力」の高い大人へと成長することでしょう。なんだか未来の日本は楽しそうですが、そんな先の時代に同じ舞台に立てないのが残念です(笑)


nice!(15)  comment(11)  trackback(0) 
共通テーマ:

nice! 15

comment 11

fullcon

そんな会話をしたら、ヨメに「何か買いたいモノがあるの?」と
勘ぐられてしまいます。
by fullcon (2009-02-05 00:09) 

pica

『風の歌を聴け』って、だいぶ前に読んだ気がするけど「村上春樹って
読んだことない」って言い続けてた私って…orz
日頃、本を読んでいないことがバレバレですね(^_^;)

嵐のような男性に憧れつつ、現実はふわふわな男性ばかりの私の過去(笑
by pica (2009-02-05 02:16) 

Tomo

女性にこういう本を読まれてしまうと、タネの分かってしまった手品をするようで困りますね。
私の場合、イタリア人とか高田純次とか言われて笑われる(あきれられる)ケースが多いです・・・。
by Tomo (2009-02-05 02:17) 

m-grace

Paceサンの最後のまとめに納得なんですけど^^
言葉を操る能力がどんどんと劣ってきてますもんね。

相手が求めていることを求めている時に程よく施す。
これに尽きる気がします。。。
10の行動を起こすより、ベストなタイミングでの言葉1つで
ホロっときちゃうときありますもん。

それには洞察力、観察力も必要なのかな。。。とも思いますね~
by m-grace (2009-02-05 09:03) 

お茶屋

なんとなくおもしろそうなので・・・
読んでしまいそうな^^;
昔、誕生日に部活の仲間から「モテる技術」という題の
結構立派な書物(外人が書かれたものの翻訳版!)を頂き、
非常におもしろかった記憶があります♪
by お茶屋 (2009-02-05 10:02) 

jinn

若い頃、これらの村上作品は全部読みました。
もちろんセリフもマネしました(笑)
でもモテませんでした(爆)
by jinn (2009-02-05 12:48) 

Pace

>fullconさん
痛くもない腹を探られることになっちゃうわけですね(^^;
でも、fullconさんの奥様ならもっと斬新なお返事が期待できそうなので
ぜひ一度、村上春樹的コメントを試してみてください。

>picaさん
私もだいぶ前に読んだきりなので、記憶が曖昧になっていました。
ふわふわした男性(笑)・・・それはきっと、picaさんが芯のところはしっかりしている
からだと思います。ふわふわ同士だと最初は楽しくても、長続きしない気がします。
どちらかが現実的で、手綱を握っていないと。嵐同士は・・・血を見ることもあるので
要注意ですね(笑)バランスって大事だと思います♪

>Tomoさん
笑いつつも”こういう男性に出会ってみたい”と思いましたし、ネタを知っていても、
実際自分が言われると惚れちゃうかも~とも思いました。
なので気にせず、どんどん実践しちゃったほうがいいと思います♪
イタリア人的・・・すっばらしいです!相手を退屈させるより、笑顔を引き出せる
人のほうが何倍も魅力的ですよ。

>m-graceさん
「コメント力」は語彙が豊富というだけではなく、空気を読む力も大切ですよね!
相手を理解することも重要ですが、プラス、自分を伝えることができてこその
双方向コミュニケーションだと思うので、自分自身もメッセージを発する能力を
磨かねば!とも思います♪ 自分の発信能力の低さを棚にあげ、相手のアンテナが
悪いと思っていた昔の自分が痛いです(笑)

>お茶屋さん
なんて粋なお友達!それにしても昔から「モテる技術」を磨いておられるとは
さすがです。この本は難しくもなく、気楽に読めるので面白いですよ!
私はつっこみに注目してしまいましたが、男性目線で読むとまた違った発見が
あるかもしれませんね。知識を得て活用し、ますますもてちゃって下さい♪

>jinnさん
村上春樹ファンなんですね!なんとなく納得です(^^)
台詞マネされたことがあるとは素晴らしいです。日本人にしておくのもったいないです!
”モテる”って多くの人からちやほやされることと思いがちですけど、狙った獲物?を
確実に落とす力が恋愛力だと思います。センスの良い奥様(お嬢様のファッションから
察するに)を射止めたjinnさんは”モテない”とは言えませんよ~♪
by Pace (2009-02-05 22:48) 

jinn

カミさんの事、お褒め頂きありがとうございます!!
そして・・沢山の異性にモテる必要はないですよね。
ちなみに「ふたつ聞いてくれる?」の質問に遭遇しなかったので、
一番使いたかった「みっつ聞くよ」のフレーズは
使ったことがないですよ(笑)



by jinn (2009-02-06 23:38) 

Pace

>jinnさん
そのように奥様のことを大切に思っておられるところがとても素敵です!
これからも共に過ごされる奥様から「ふたつ聞いてくれる?」と言われる
ことがあるかもしれませんね。その時のために、温めておいてください♪
大切な一人にモテ続けることが、一番幸せな人生なのだと思います(^^)
なんだか夫婦っていいな~なんて、羨ましく思っています♪

by Pace (2009-02-07 00:14) 

iemen

こちら、とても参考になりそうですね。
恋愛、コメント力まったくダメダメなので
ポチッといかせていただきます^^;

by iemen (2009-02-07 01:29) 

Pace

>iemenさん
コメント力・・・私はしゃべる仕事なので口は達者な方ですが、どうしても
笑いをとることに力点をおきがちで、恋愛には不向きなタイプです(笑)
iemenさんなら、胃袋掴む力があるじゃないですか!!今は特に、食に
こだわる女性が多いので、料理上手は大きな魅力だと思います♪
この本読んで、コメント力に磨きをかければ無敵ですね!
by Pace (2009-02-07 02:26) 

コメントを書く

name:
URL:
comment:

trackback 0

トラックバックの受付は締め切りました
<script async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"></script>
<script>
     (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({
          google_ad_client: "ca-pub-3052921242730156",
          enable_page_level_ads: true
     });
</script>

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。