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Moon Palace [leggere -読書-]

前回の更新から2カ月以上が経過してしまいました。
夏の間はバテてぐだぐだしていた・・・だけではなく、ずっとやってみたかったネイルの勉強を初め、当初考えていたよりも奥が深いことに驚きつつ悪戦苦闘していました(笑)

そうこうしているうちに、いつのまにやら季節がまた一つ移ろって・・・。
すっかり秋です。年中本を読んではいますが、『読書の秋』ということで、本の話題でも。

ポール・オースター 『ムーン・パレス』

買ったはいいが、しばらくの間手に取らず放置・・・となってしまう本があります。たぶん、本買い過ぎなのが原因の一つですが、なんとなく「そのうち読もう・・・」と寝かせてしまうこともあり。この本も、ワインのように熟成させていた一冊でした。(そして忘却のかなたに・・・)


村上春樹 『雑文集』

先日購入し、すぐに読みはじめました。エッセイや各種あいさつ、質問への回答などがごった煮で収められた、気軽に読める本。いつものように珈琲を淹れて、お気に入りの場所でまったりとページをめくっていたのですが、ある箇所で『ポール・オースター』『ムーン・パレス』に遭遇。
その瞬間に思い出しました!「私この本まだ読んでないやんっ!」って。

早速引っ張り出してきて、表紙を眺めてまず思ったのが「懐かしい」(!)
どんだけ寝かせてしまったんだろうと思って確認したら、購入したのは平成9年、なんと14年前!その間に2回の引越しをし、段ボールに詰める度に「落ち着いたら読もう」と思った記憶がある。

ざっと目を通して『雑文集』に戻ろうと思っていたのに、そのまま止まらなくなってしまいました。
購入当時は数ページ読んだだけで中断してしまった本なのに、ありえない勢いでハマりましたよ。
今は、ポール・オースターの他の作品も順次読破だっ!と、やる気満々になっているくらいです。

『ムーン・パレス』のストーリー紹介はアマゾンにお願いするとして・・・(笑)
本人の意思とは無関係に、または無意識に選びとった状況や小さな偶然・人との出会いから、人生には様々なことが起こりうるということは、14年前より今のほうが実感を伴って理解できる。

ちなみに、月までの距離は38万4400km。時速4kmで24時間歩き続ければ、約11年で到着する計算になるそうです。私はそれより3年多くかかりました・・・(^^;
本には読むタイミングがあるなーと思いますが、こんなに長くかかったのは自己最高記録。

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でもある意味この本は、20代の私から30代の私へのプレゼントだったんじゃないかな。
なんてふと思った、2011年秋のある一日でした。


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The house of GUTTI [leggere -読書-]

1995年3月27日 マウリツィオ・グッチ 暗殺
古典的なマフィアの復讐手口にもみえたが、真相が解明されたのはそれから約3年後…。

殺人事件から幕を開けるこの本は、イタリアの超有名ブランド『GUTTI』創業時からの歴史を紐解きながら、事件の真相を明らかにしていくというノンフィクション作品

1921年、マウリツィオの祖父グッチオがフィレンツェで「グッチオ・グッチ鞄店」設立。順調に売り上げを伸ばしていき、息子アルドの代にはアメリカにも進出大成功を収める。
アルドは「涙を流してもいいが、攻めることは忘れるな!」というパワフルな人物。彼は小さな企業から出発し、たった20年程で、アメリカ・ヨーロッパ・アジアにまで販売網を持つ輝かしい帝国を築き上げた。

その光には「家族間の争い」という影がつきまとい、泥沼化。親子の間でさえもなじり合い、訴訟を起こすという激しいバトルの最中にも、アメリカでの収益を伸ばしていくGUTTIだが、さらに脱税容疑をかけられるというオマケがつく。なんとアルドは、天才的な勘だけで会社を経営しており(!)、経理は決まった手続きもなく無秩序状態。(どんぶり勘定かっ!?なんてイタリア的なんだ…)

次々と問題勃発のハチャメチャ状態の中、アラブ系投資会社と手を組み、策を弄して3代目社長に就任したのがアルドの甥、マウリツィオ。「一代目が創業し、二代目が発展させ、三代目で大きく成長するかどうか試される。という諺がイタリアにはある。」と言った彼は、なんと会社を大きく傾かせてしまう(!)

半端じゃない状況を分かっているのか?!と唖然としてしまう言動も、やっぱりイタリア的(笑)
彼は経営の才能はイマイチだが、非常に魅力的な人物であるため、周囲は翻弄されつつも支える。
しかし1993年(暗殺される約2年前)に、とうとう彼もGUTTIを去ることに…。

マウリツィオ暗殺事件の解決を挟みながらも、グッチ一族が一人もいなくなったGUTTIが奇跡的な大復活遂げ、巨大なグループ企業へと成長する物語は続く。争いは「家族間」から「企業間」へと移り、こちらもまた壮絶極まりない。敏腕ビジネスマン達が繰り広げるのは、買収合戦

著者はここで、“GUTTIの歴史はヨーロッパで創業した家族経営企業や個人企業の悪戦苦闘を象徴している”という。“今彼らが直面しているのは非常に不条理な情勢で、成功のために支払わねばならない代価は、しばしば自分が興して育てた会社を手放すことになる“と…。

エグイ…しかし、現在高級ブランド品市場でGUTTIが揺るぎない地位を獲得しているのも事実。

あわせて、『イタリア人の働き方 ―国民全員が社長の国―』もどうぞ。

こちらは初期のGUTTIと同じく小規模ではあるものの(むしろ小規模であることを守っている)、個性的で仕事を愛しているイタリア人達が紹介されています。
「第6章 イタリアならではの職業」では、エクソシストやパパラッツィも登場しますよ! 

こちらの著者(イタリア人)は、「成功することは、すなわち金銭的に裕福になることと同一ではない。本当の成功は、自己実現できたかどうかにあるのではないか。」と言っています。

GUTTIのケースとどちらが良い・悪いというのではなく、対照的な2つを知るのは面白いです。遠い異国のお話ですが、他人事ではなく、会社はどう生き残り、個人としてはどう働くかということを考えさせられます。とりあえず私は、どうあろうと、GUTTIもイタリア人も含めた、まるごとのイタリアが大好きなことに変わりはないんですけどね(笑) ←どうしようもないオチですみません(^^;

どさくさまぎれにDVDのことも書いちゃいます。

1月にAuto saloneに行った時から気になっていて、やっと観ました!(過去記事はコチラ
私は時間があれば本を読む人で、映画は滅多に観ないのですが、これは最高に面白かったです♪
イカツイ車が次々に大破し、鉄屑と化していく様はまさにワイルド(笑) スゴイですっ!!

細かい部分ですが…FBI捜査官が潜入捜査をするために選んだGT-Rが右ハンドルでした。なぜ??とプチ疑問を抱きつつも、アメリカでも右ハンドル車に乗る人がいるんだなぁと、受け入れかけたのですが…。やっぱり気になるので調べてみたら、アメリカでは基本的に右ハンドル禁止なんですね。(郵便局の車は、ポストに入れやすいという理由で右ハンドルらしいのですが)
うっかり「どっちもアリなんだ!」と納得しちゃうところでしたよ(^^; 


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Style & Life [leggere -読書-]

『イタリア料理事始め』 -堀川春子の90年-
この本の、出版記念講演に行ってきました。

堀川さんは1917年(大正6年)生まれ、1932年に弱冠15歳でイタリアへ渡り、2008年に91歳で亡くなるまで、イタリア料理とともに人生を過ごした方。お嬢様と呼んで差し支えないお家に生まれたにも関わらず、通訳官付きのメイドとして日本を飛び出し、ムッソリーニ政権下のローマへ。19歳で帰国した後、日本でのイタリア料理の普及に人生を捧げたと言っても過言ではない生き方をした女性。

講演では、著者である土田美登世さんが、堀川さんを取材したときのエピソード、裏話や本に収めきれなっかったお話などを聞かせてくださいました。土田さんは元「料理王国」の編集長だった方で、料理業界にとてもお詳しく、終始パワフルな笑顔で語って下さった、気さくで明るいお人柄でした。

講演の合間に、堀川さんのレシピを再現したトマトソースを頂きました。ワインと一緒に。
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バターを使っているとのことに驚きました!でも、しつこい感じはなくて、今の私達が知ってるトマトソースとは違うけれど、甘くてまぁるい、とても優しい味でした。現在のように食材が思うように手に入らなかった時代に、なんとか本場の味を再現したいと心を砕いて、工夫された味なのだそうです。

資料として土田さんが持参されていた、『カリーナ』(1961年オープン)のメニュー。
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料理指導を依頼された堀川さんが、最も悩んだのはメニュー構成だったそうです。
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ミートソースが250円、カルボナーラが300円!物価の違いに時の流れを感じます。
また、メニューには日本語だけではなく、きちんとイタリア語でも記載されているところにこだわりも。

メニューの他、本作りのために集めた多くの資料を前に、貴重なお話を聞かせてくださる土田さん。
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この資料の山の中に、村上春樹さんの『カンガルー日和』がありました。
もしや何かしらの影響を与えられたのかな!?なんて思いましたが…。
写真にある緑色のメニューは、1971年開店の『トスカーナ』(料理指導は堀川さん)のもの。
そして、『カンガルー日和』の中に「1971年、それはスパゲティーの年だった。」という文があるのです。
(村上春樹ファンの方は163ページを見てください!)
堀川さんとは直接関係ないけれど、この共通点が嬉しくて、資料と共に持ってこられたとのこと。

こういうちょっとした寄り道のお話からもわかる通り、調べるとなったら徹底的に、とことんやりたい!という熱い魂の持ち主である土田さんのお話は、どれも活き活きとしていて、魅力的でした。

本を読めば、いかに堀川さんが日本のイタリア料理界に大きな影響を与えたかが分かるのですが、私を含め、講演会に参加したほぼ全員が、これまでお名前を知りませんでした。このことについて土田さんが、「悲しきマリオネット」という表現を引用されていたのが印象に残っています。
-80年代頃からイタリア料理が注目され始め、レストランは増加の一途、料理人は自分なりのイタリア料理を追求していき、多様化が進んでいく。-誰よりも早く、長く、イタリア料理に関わっていたものの、時代の流れと彼女が守るものとの間に、少しずつギャップが…。 それでもご本人は気に病むことなく、生涯現役、死の直前までイタリア料理に情熱を注いでおられたそうです。-あくまで自分のやり方で。

時代と相対距離を合わせて変化していく方法に異を唱えるつもりは全くなく、むしろそれはそれで難しいことだと思いますが、一人の人間として、自分のスタイルを貫いた姿勢は美しく感動的で、尊敬の念が湧いてきます。今では身近な存在となったイタリア料理の日本史の中に、こんなドラマがあったとは!

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分厚いファイルの中には、びっしりと堀川さんのレシピメモが収められていました。
これは1冊だけではなく、他にも複数残されているとか。

完成した本の装丁についても説明して下さり、愛おしそうに眺めながら、堀川さんが蘇った気持ちになるとおっしゃっていた土田さんの姿も、とても素敵でした。

色んな生き方があると思います。あと少し、勇気があれば…と思うことが、ないでもない。つい勢いで…と、とんでもない方向へ走り出すこともしばしばで。寄り道、遠回り、急がば回れ?と紆余曲折あるかもしれませんが、不器用でもスタイルを持って生きたいと、ブログ2年生最後の記事にて思うのでした。


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またAmalfi -libro- [leggere -読書-]

先月の話になりますが、映画『アマルフィ 女神の報酬』を見た後、すぐに原作本を購入しました。

ゆっくり読もうと思っていましたが、映画とは違う登場人物の存在やストーリー展開にはまり込み、二晩で読了。睡眠時間を大幅に削減してしまいました。やはり真保さんの作品、読み始めたら止まらなくなってしまいます。ラストはあと2~3ページあれば…と思うような唐突な終わり方ですが、読み応えがあり充分楽しめました!映画だけでなく、原作本もお勧めです♪

そしてその後、もう一回映画も観ちゃいました♪そもそも映画館へあまり行かない私が、同じ作品を二度も映画館へ足を運んで観るなんて初めてのコトです。 どんだけはまってるんでしょう(笑)
一度目はストーリーよりイタリアの風景に気をとられてしまいましたが、二度目は落ち着いて鑑賞。
なぜか、織田裕二が前回よりカッコ良く見えるという不思議な心理に陥りました(笑)
ちなみに終わり方は、原作本より映画のほうが余韻に浸れていいかもしれません。

一度目は興奮状態でうっかりしていましたが、二度目は忘れずパンフレットも購入しました。
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すっばらしい景色ですー♪
パンフレットのインタビューで天海祐希さんが「この映画を観て、アマルフィとかローマに行ってみたいと思っていただけたらすごく嬉しい」と語っておられます。その効果、絶大なことを私が保証します!!

『ギリシャ神話の英雄ヘラクレスは、愛する妖精の死を悲しみ、世界で最も美しい地にその亡骸を埋めて街を作った。 その街の名は-アマルフィ』 

映画も2度観たし、本も読んだし、パンフレットも熟読したし、後は現地へ赴くのみです!!

アマルフィとは全く関係ないのですが、先日仕事で行った学校にアヒルがいました。
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小さい頃は放し飼い?だったらしく、校内をぺたぺた歩いていたそうです。
人にも懐いてると聞いたので、撫でようと手を出したら・・・噛まれました。べつに痛くはなかったのですが、ぱくっ!とやられた瞬間びっくりして「うわーー」と大騒ぎしてしまいましたわ(笑)

小学生の頃、学校で飼っていたウサギを触ろうとして噛まれたことをふと思い出しました。ウサギの歯は、アヒルのクチバシの比ではない痛さです。指が血まみれになりましたよ。
なんでもかんでもすぐに触ろうとする癖があるんです…。これを改めないといけませんね。
どうでもいい小さな出来事ですが、アヒルに噛まれるなんて人生初の経験だったので書いてみました。
でも、意外と噛まれたことのある人が多かったりして…。


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読書メモ -2009年前半まとめ- [leggere -読書-]

2009年が半分終わりました。早い早い・・・。
ここで前半の読書を振り返ってみようと思い立ちました。

今まではひたすら読み散らかすだけで、何をいつ読んだなどの履歴は残していなかったのですが、昨年半ばからタイトルと読了日を手帳にメモするようになりました。これで読んだ冊数も分かるので、一応の目標は「年100冊」と設定。といっても月に約8冊、週2冊ほどなので、今までのペースから考えても特に無理のない数字。志低くてすみません(笑)

この半年で読んだ本の数は・・・47冊。あれ?半年で50冊読むはずですが、足りてません(^^;
5・6月にちょっとペースが落ちてしまっていたのが原因のようです。しかし、読書の秋に挽回できるのでいいんです。気にしません。←自分に甘い(笑)

「お勧めの本は?」と聞かれたら、何を挙げますか?
私は今のところ、伊坂幸太郎さんの『重力ピエロ』が真っ先に思い浮かびます。この作品についてはTomoさんが、映画化もされていて、そちらについてはgyaroさんが記事にされています。

お二人の記事にはかないませんので、私は2009年前半に読んだ本を振り返りつつの読書メモを。

最近続けて3冊、辻仁成さんを読みました。イタリアが舞台の「冷静と情熱のあいだ」はもちろん読んでいますが、それから長い間手にとっておらず、かなり久々です。その中から1冊。

真珠湾攻撃を経験したパイロット三人が50年後のハワイへ…。そこで出会った人々との物語を軸にしつつ、パイロットの一人白河周作の妻の日記が差し込まれて進みます。
”太平洋戦争を生き抜いた勇敢な兵士が、最後は祖国ではなく、爆弾を落とした場所に楽園を求めなければならない”という箇所に代表される、元パイロット達の現在の境遇&心境。時代の変化、変わりゆく日本に、うまく折り合いをつけることができないまま老年を迎えてしまったという侘しいトーンが流れていますが、そのままでは終わりません。後読感はむしろ爽やか。
個人的には、周作の妻の日記に心打たれた部分が多いです。彼女は精神を病んで自殺してしまうのですが、無口で不器用、昔気質な夫を陰からずっと、ひたむきに見つめ続けてきた姿に泣けてきます。
「人生は速度が重要なんじゃないもの。いかに上手に、無理せず、流れていけるかよね。」
周作がこの日記を読むのは、彼女の死の数年後です。

須賀敦子さんの『本に読まれての中で紹介されていた、池澤夏樹さんの本を読みました。須賀さんについては、昨年の記事の中でも大好き宣言(笑)をしているのでここでは控えます。

”この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを入れる容器ではない。”
…いきなりこんな文章ではじまります。そして、”二つの世界の呼応と調和がうまくいっていると、毎日を過ごすのはずっと楽になる。心の力をよけいなことに使う必要がなくなる。水の味がわかり、人を怒らせることが少なくなる。”と続きます。変な宗教の話か!?と思ってしまいますが、独特の世界観をもつ佐々井という人物と僕の、ある一時期の交流の物語です。グラスの水をじっと見つめる佐々井に「何を見ている?」と聞くぼく。その答えが「チェレンコフ光」・・・おいっ!と、ツッコミたい気持ちを抑えて読み進めれば、引き込まれる物語です。
好き嫌いが分かれるかもしれませんが、なんだかんだ言って私、気に入ってしまいました。

最後に、今年前半読んだ47冊の中で最も”オモシロイ!”と思った森見登美彦さんの作品を。

“キュートでポップな恋愛ファンタジー”ってどうよ…。なんて思って、しばらくは読もうかどうしようか悩みましたが、本屋さんで何度も見かけているうちに、とりあえず読んでみよう!という気になりました。
簡単に言えば大学生の恋愛物語なのですが、すさまじい酒豪の「黒髪の乙女」を筆頭に、奇人・変人・曲者がひっきりなしに登場し、テンションの高い物語が展開していきます。「黒髪の乙女」に恋しちゃって苦悩する「先輩」はあの手この手で彼女に接近を試みるのですが、それが無謀としか思えない我慢大会への参加に繋がったり、コタツと共に移動するゲリラ演劇を追いかけるはめになったり…。
ツッコミどろこは満載です。でも、最後に温かい気持ちになれるキュートな作品でした。

書き出したら長くなってしまうので、簡単なご紹介にて。ストーリーを追うだけでなく、内包するものをどう捉えるか、読み方は人それぞれだと思います。梅雨のこの時期、雨で予定が流れちゃったよ…、なんてときに、気が向いたらどれか1冊手にとってみてください。


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黄金の中庸、を。 [leggere -読書-]

千円札は拾うな。 』を読んでみました。
タイトルにインパクトのある本ってたくさん見かけますが、実際中身はどうよ?なんて思って、逆に敬遠することも多かったり。この本も書店で見かけた時には気になりつつもスルーしましたが、先日図書館でなんとなく手にとってそのまま借りてみました。目からウロコ!という驚きの内容ではありませんでしたが(他のビジネス書にも似たようなものがありそうな)、せっかくなので読書メモを書いてみます。

まず、なぜ千円札を拾ってはいけないかというと、目線が下がって他の物が見えなくなるから。世の中のそこかしこに転がっている宝に気付き、手にするためには、目先の千円を捨ててもっと大きな目で周りを見渡し、自分の目線を億単位にまで高めろということらしいです。
いきなり億単位って・・・と思って怯みますが、要するに成長(変化)するためには何かを「捨てる」ことが必要だということの比喩でした。トンボが「飛ぶ」能力を手に入れる代わりに、ヤゴが持っていた「泳ぐ」能力を捨てるように。

様々な常識や固定観念を捨て、成長していくための考え方や方法が4章に渡り紹介されています。

時間の使い方については、私的にそんなに斬新なものもなかったので省略。
お金の使い方で面白いなと思ったのは、「お金の使い方は一つのスキルである」という考え方。たくさん持っていても、上手に使えなければ意味がないそうです。貯金が苦手・・・と思わずに、使うのが上手なんだ!と発想の転換をしたいと思います。(間違ってるかもしれませんが)
他に”贅沢の基準は自分で決める(「明らかな答えのないもの」の答えを考え、自分の「軸」をはっきりさせること)”・”質の追求に限界はなく、量の追求に未来はない”、そして”家を売ってワインを買っても人生は破綻しない(生きていく上で必要なのはお金そのものではなく、必要な時に必要なお金を作り出すことのできる能力)”などもわりと面白く、参考になりました。

お次は「いい男、いい人材」の見抜き方。
”女性が「いい男」を決めている”って・・・ほんとか?と若干疑問に思いつつ、なんとなく理解。
”関東にオシャレでカッコイイ男性が多いのは、関東の女性がオシャレな男性を好み、甘やかさないからだ”と書かれているのですが、そうなのですか?でも、イタリア男性の場合はモテることが行動の基本にあるように思うので、納得ですけど(笑)
そして、”女性が男性を見極めるときに「お金」と「時間」の使い方をきっちりチェックして欲しい”と書いていますが・・・。時間の使い方については、そもそもだらだらしてる人とはあまりテンポの合わない私は理解しやすかったのですが、お金の使い方までチェックするのはちょっと怖いと思っちゃいました。私が男だったら、そういうとこ細かく言われたら引くと思う(笑) でも、これは私がお金にルーズだからなのかもしれませんが・・・。
”彼氏は彼女がいる人の中から選ぶ”の項目は目が点になりました。要は、いい男には常に彼女がいる。→略奪するのではなくて「予約」する(確率をあげるため、10人位見つけておくことが大切)→1年もたてば半数位は彼女と分かれるだろう。という理論。話題のケーキを買うために行列に並んで待つのと同様、いい男を捕まえるためにこそ「予約待ち」が必要なのだと書いていましたが、どうなんでしょうね。なんか飲み込めないけど(笑)、まあ頭の片隅に置いておきたいと思います。

最後は”守り受け継ぐべき「伝統」や「文化」と一時的な「トレンド」をきちんと見極めること”の大切さについて。このへんは漠然と思っていることを再確認する感じで読めました。

話は逸れますが、伝統については先日の天皇・皇后両陛下のご結婚50年記者会見での、皇后陛下のお言葉がとても印象的でした。新聞記事をざっくり要約します。「伝統があることで国や社会や家が力強く豊かになっている反面、型のみで残った伝統が社会の発展を阻んだり、古い慣習で人々が苦しめられたりすることがある。また伝統には、表に現れる部分と内に秘められている部分の2種類がある」
新しいモノ、流行のモノには常に興味はあるし、新しい事もしたい。でも、古くから守られているモノやスタイルにも尊敬の念を抱く。どちらも捨てがたい。主な仕事場が学校なので、この辺でも時代に合わせたやり方と保守的な面との狭間で悩ましいことが多く、非常に考えさせられました。

『千円札は拾うな』では、常識や、他人や社会の基準に惑わされず、固定観念を捨てて成長をすることの重要性が繰り返し書かれています。が、全く無視して生きていくのもカドが立ちますし、ある程度は人と共通のモノサシも必要だとは思います。その辺のところ、やっぱり重要なのはバランス感覚かなぁと。
この本と一緒に借りた『トニー流 幸せを栽培する方法 』、著者は『ダーリンは外国人』のダーリン、トニー・ラズロです。この中に、古代ギリシャの思想で「黄金の中庸を」というのがありました。なんだかんだ言って、この考え方が最もしっくりきた私です。テキトウなオチですみません(笑)


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Tre Scrittori -3人の作家- [leggere -読書-]

先月、突発的に思いついた『月一新チャレンジ!』 (いきさつはこの記事の最後の方に)
今月は、今まで読んだことのない作家3名に挑戦することにしました。『3』は三月だから。数字の必然。

その1 『カフーを待ちわびて』 原田マハ著
本屋さんでよく見かけていて、気にはなっていました。今回、文庫本表紙の沖縄の写真が決定打となり購入。ちなみに、第一回日本ラブストーリー大賞受賞作品。

「嫁に来ないか」と冗談のつもりで絵馬に書いた明青の元に、「もし絵馬の言葉が本当なら、私をあなたのお嫁さんにしてください」と一通の手紙が届く。そしてほんとにやってきた!

絵馬の言葉をきっかけに沖縄の離島まで行くとは、すごい行動力だ・・・。というのが第一印象。後半でその謎がとけていくのですが、その辺はちょっとベタな感じです。文庫本の帯には”読み終えたら、まず大事な人の声が聞きたくなる-そんな作品だ。”とありますが、むしろ沖縄に行きたくなりました。
まあこういうのもありだと思います。春なので。ピュアな人にはお勧めです。・・・あれ?私は・・・(笑)

その2 『ブラフマンの埋葬』 小川洋子著
ちょこちょことお勧めとして見かけていた小川洋子さんの名前。『博士の愛した数式』の著者でもありますが、そちらを選ばず、タイトルの印象のみでこれを手に。

夏のはじめのある日、”創作者の家”で管理人を務める僕の元に、ブラフマンがやってきた。
秋を運ぶ最初の季節風が吹いた後、ブラフマン死亡。そして僕は埋葬する。

”ブラフマン”と名付けられた小動物がいったい何なのか、そこは最後まで謎でした。森からやってきた茶色い生き物で、特徴的なしっぽ(胴体の約1.2倍)を持ち、歩き方は不器用だけども泳ぎ方は美しい。そして、ヒゲと水かきを持っている。・・・どなたか、こんな生き物をご存じなら教えてください。
謎ではありますが、愛嬌たっぷりのブラフマン。疑いを持たず、うんざりもせず、ただひたすら”僕”を見つめるチョコレート色の瞳。・・・かつて誰かにこんなふうに、見つめられたことがありますか?

その3 『日曜日たち』 吉田修一著
Invitation 2月号(特集は”極上の本 極上のコーヒー”)で千野帽子さんがお勧めとしてあげていた1冊。この雑誌で大量の本がお薦めされていましたが、中でも最も気になったのがこれ。

接点のない5人のそれぞれの日曜日。彼らがふとした瞬間に思い出す、記憶の片隅にある兄弟が、5人の気付かないところで彼らを結ぶ。5つの短編と、5つの善意の行方の物語。

ひとつひとつの短編は、派手さはなくどちらかといえば地味で、わりと冷めた登場人物達。
”もっと簡単に言えば、誰かを愛するということが、だんだんと誰かを好きになることではなくて、だんだんと誰かを嫌いになれなくなるということなのだと知ったのだ”
これは1番目の物語の人物の言葉。全体的にこういう低めのテンションで進みます。
しかし、この言葉は最も印象的でした。私だったら「情に流される・・・」と、ミもフタもない言い方をしてしまうところですが(笑)、それより数倍きれいな表現。諦めムード漂ってる感じもありますが、受け入れていく姿勢と少し優しいニュアンスが気に入りました。
『なーんかいいことないかなぁ・・・』なんて思っている時に読むと、『なんかいいことしてみようかな』って思えるようになる作品です。

最後に、お詫びと訂正を・・・。
☆冒頭でリンクをはった過去記事を見てくださった方へ(リアルタイムで見てくださった方も)

このジャガビー、また札幌出張行ったわけでも、お土産で貰ったわけでもないのにうちにあります。
じゃがびー.jpg
近所のスーパーで見つけちゃいました・・・。発見時は「ジャガビー食べれてうれしい!」よりも「なにっ!」という複雑な心境でした。”札幌土産”としてお勧めしたものですが、千葉でも購入可能でした。
す、すみません・・・。


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恋愛力!? [leggere -読書-]

あまりこの手の本は手にとらないのですが、著者は「声に出して読みたい日本語」の齋藤孝氏。いったいどんな『恋愛力』を語っているのか?図書館でチラっと見たら面白そうだったので、借りてみました。  

ここでは「恋愛力」は「コメント力」と定義されています。顔でも金でも権力でもなく、必要に応じて上手い言葉を操れる男が結局はもてる!という持論を、様々な小説やドラマを例にとって展開。
村上春樹作品の登場人物についてはとにかく大絶賛しています。このほめっぷりがおもしろいです。

『風の歌を聴け』は”私たち男性がまねすれば、絶対にもてるだろうという恋愛力にあふれたコメントが
大量に発見できる。まさに恋愛力のバイブル的作品と言える。”そうです。
数々の例を挙げて、「すばらしい会話だ」「参考にしたい技だ」はては「この展開でからめ取られない女の人は日本にいるだろうか」と大絶賛しておられる。しかし、ふつーまねできないよ!というものばかりな気がしておかしい(笑)齋藤氏自身、「日本人でここまで格好をつけて言える人はいないだろう。日常会話でこれをやったら、完全に浮くか、頭がおかしいと思われるに違いない」と言っている箇所もあり、どっちやねん!!と突っ込まざるを得ない。

『1973年のピンボール』では、”当たり前のコメントを避ける技”を。
ここでの「僕」(主人公)の会話を追っていくと、”意外に論理的なことがわかる。女性はもしかしたら論理的能力の高い男にセクシーさを感じるのかもしれない。”ときて、”社会ができる男より、数学ができる男のほうがフェロモンが飛んでいそうな気がする。”と齋藤氏は語る。・・・そうなのか(笑)数字に強い人=フェロモン飛んでるとは思えないけど、こうして説明されるとそんな気がしてくるから不思議・・・。

『ノルウェイの森』は”高度な恋愛力がつまっている、高度なテキスト”らしい。
-「じゃあ私のお願いをふたつ聞いてくれる?」
-「みっつ聞くよ」 ・・・ノルウェイの森(上)より
”聞くだけならタダだから、100でも聞ける。さすが村上春樹!”とここでも絶賛(笑)
調子にのって「100個でも200個でも聞くよ~」と言ってしまったらギャグになっちゃう訳ですね。
参考になりますわ。
他に、”なんとも言いようがない変なものに対してコメントを求められたときの対応。”として比喩を使う例もありました。「変」と答えるのではなく、「ユニーク」とか「独創的」という単語をちりばめて答えるべきだそうです。直球勝負はだめらしい。-齋藤氏の若い頃の失敗談:歯の矯正をしている女の子に「これはおかしい?」と聞かれて、正直に「おかしいと」答えてしまったとのこと。この女の子は今は齋藤氏の奥様になっておられるのですが、いまだにそのことを責められ続けているそうです。・・・ご愁傷様ですね。
”春の熊くらい君が好きだ”の箇所にある一連のコメントは、村上春樹小説の中でも秀逸であるらしい。
-「あなたって表現がユニークね」といわれ「君にそう言われると心が和むね」と僕は笑って言った。
をうまい会話だと褒めちぎる齋藤氏。奥様からよく「バッカじゃないの」と言われるそうですが、”次から「君にそう言われると心が和むね」と言ってみよう。これは使える。”とおっしゃる齋藤氏・・・。
やめた方がいいと思うのは私だけでしょうか。私が奥様なら、こっそり精密検査申し込んじゃうと思いますが。脳波とったら変な音楽奏でてた、とか嫌ですよそんな旦那・・・。
注意事項として、”コメントはよく練ってから言うべきである”とのこと。でないと、突っ込まれたときに破綻してしまうから。そりゃそうだ。私のような自称つっこみ上手は、天敵扱いされてしまいそうです。

村上春樹作品をこういう視点で読んだことがなかったので、もう一度読み返したいと思いました。

次にやり玉(?)に挙がっているのが『冬のソナタ』、”天下無敵の純愛「恋愛力」”だそうです(笑)
ピンポイントで例を挙げ詳しく解説されているので、冬のソナタを全く見たことがない私でもだいたい理解できました。”どうころんでも自分が勝つ無敵の質問”や”カルト宗教の手口に似た”やり方を「うますぎる展開だ」と褒め称える。また、”弁証法を取り入れた口説きテクニック”や”ビジョンと戦略”を解説し、すごい男だ!とまたまた絶賛。(そんな齋藤さんを私はスゴイと思う・・・。)何を言われても自分にいいようにしか解釈しない、我田引水的な生き方をするこのタイプ、実は私が最も弱い相手かもしれない・・・。自由奔放に見えて実はふわふわ漂っているだけだったので、嵐のような強引な人間に巻き込まれやすかった自分の過去を思い出してちょっと痛い(笑)。

他に『金閣寺』(三島由紀夫)でレアな例を、『三四郎』(夏目漱石)でダメな例などを。
三島由紀夫なら『春の雪』のほうが・・・と思ったのですが、紹介されているのは主人公ではなく、脇役の男性。同じような例として『罪と罰』のラスコーリニコフが挙げられていましたが、どちらも私は好きになれなかったので、レアなタイプには当てはまらないと思われる。シベリアへは絶対行きたくない。

最後に、『いま、会いにゆきます』や『電車男』を例にとり、普通の人にもまねできる「恋愛力」の基本が紹介されていますが、どちらも見ていない&読んでいないし、さほど・・・という感じでした。大抵の場合、一般論ってそんなに面白いものでもないですしね。

今さら言うのもなんですが、この本は男性向けです。なので、私は読んでもどうしようもないのですが、「恋愛力」より齋藤さんの「つっこみ力」が非常に参考になりました。なかなか面白かったです。

「ゆとり」から脱却し、生きる力につながる「言語活動の充実」が重要視されていますね。その教育が成功し、豊かな言葉の力を身につけた子供達は「恋愛力」の高い大人へと成長することでしょう。なんだか未来の日本は楽しそうですが、そんな先の時代に同じ舞台に立てないのが残念です(笑)


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座右の書ってありますか? [leggere -読書-]

『読書は1冊のノートにまとめなさい』 奥野宣之著
を読みました。100円ノート整理術の著者ですね。『情報は1冊のノートにまとめなさい』は立ち読み程度で済ませましたが、読書のほうは気になったので買ってみました。この手のって他にレバレッジ系とかHack系もありますが、私には”多読・速読より、1冊ずつきちんと頭に落とす読書術”なこの本が、一番すとんときました。

この中で紹介されいた「座右の書コーナー」作り。
本棚の一角に”この本を読めば、いつもこういう気分になる”というシステムを作り上げていくというもの。例えば、つらいときに読む本、気持ちがきりっとなる本、手本にしたい名文などを自分なりに選び出しておくわけです。著者いわく、「精神的にまいっているときに、いざ元気のでる本を探そうと思っても遅い」と。なるほど!です。

というわけで、外は風が強くて寒いし、出かける気にならないこんな日に実行してみました。

が、しかーし。どこから手をつけたらいいのか分かりません。うーん困った。最近読んだ本ならともかく、何年も前に読んだ本は記憶がぼんやりとしていて、1冊1冊手に取りながら考え込むという泥沼にはまってしまいました。「これを読んでこんな気分になった!」などを思い出すのはかなり時間がかかる・・・。
なので、涙の量でベスト1を選んでみました。

『終戦のローレライ』 福井晴敏著
感動した本は無数にあるけど、自分史上最も号泣した本がこれだと思います。
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映画化もされましたね。でも、映画よりも断然本のほうがいいです。軍系用語が分からず、自衛隊のHPとか見て勉強(?)しながら読みました。

知識を得るのに役立った本も選べました。”実用的”という観点のほうが選びやすいですね。
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イヴの七人の娘たち  人類のDNAを辿ります。
「小説「聖書」新約篇と旧約篇」 西洋絵画を見るときに、どうしても必要な聖書の知識をお手軽に。
「眠れない一族」 以前に記事にしました。

疲れてきたのでちょっと休憩。
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お茶の時間。
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茶缶に兄弟が増えました。←お茶屋さんの表現まるぱくりです。
最初に買ったのは緑色(コチラ)で、先月ベージュ色が新しくうちの子となりました。お茶は蒲南茶荘さんの『迎春』です。お正月の帰省時に両親へのお土産として渡したものの、自分でも飲みたいがために、こそっと持って帰ってきてしまいました(笑) ・・・親孝行なのかどうか、判断が分かれるところですね。

この後文庫本と格闘してみましたが、もう収集がつかなくなって断念・・・。引っぱり出した本を片付けてたら、すっかり日が暮れてしまって「なんだったんだ?!」という1日でした。

こんなことにならないように、”読書ノート”を付けることが大切なんだと痛感しました。読みっぱなしだと、誰しも忘れてしまうもの。他の読書術系の本でもいわれていることなのに、キマグレにしか実行できていません・・・。『読書は1冊のノートにまとめなさい』の中では”長く付き合える本を探すことが、常日頃の読書の目的といってもいい”と、書かれていました。そういう意識が薄く、興味の赴くままに、雑多に本を読み散らかしてきただけの私が、いきなり座右の書探しというのは無謀でしたね。
完全に見切り発進でした(^^; 新年早々やっちゃいましたよ、深くも考えずに行動・・・。
今後は意識して、長く付き合える本”座右の書”を探していきたいと思います。


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秋の読書計画 [leggere -読書-]

今月の芸術新潮。【特集 須賀敦子の愛したもの】です。
須賀さんは1929年(昭和4年)生まれ、フランス留学中の24歳の時にはじめてイタリアを訪れて以降、イタリアと深く関わり、素晴らしい著書を残されています。
イタリアに関わる女性作家といえば、塩野七生さん(1937年生まれ)。ローマ人の物語をはじめ、数多く本を出版されています。今のように気軽に海外へ、特に女性が出て行くことが少なかった時代に日本を飛び出し、イタリアで過ごしたという共通点はあるものの、その視点は対照的です。塩野さんは古代ローマ、ルネサンスや偉人といった歴史の表舞台が中心だとすれば、須賀さんはその目で見て感じたこと、触れ合った人々、街に息づいているものを綴るエッセイが中心。淡々とした語りかたが、穏やかで優しくて、心の裏側にもすっと入り込んでくる須賀さんの文章は、秋の読書にふさわしい。
没後10年にあたる今年のこの秋に、こんな特集をされると、いつもは高いから立ち読み・・・な芸術新潮を衝動買いしてしまうじゃないですか。

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今手元にある5冊のうち、須賀さんの著書4冊。
 地図のない道
 -
トリエステの坂道
 -
コルシア書店の仲間たち
 -
ヴェネツィアの宿

『ヴェネツィアの宿』に収められた”オリエント・エクスプレス”は特に印象に残っている1篇。
列車が到着したミラノ中央駅での描写-“ミラノの日常に埋もれている私には、これらのうつくしい人々の着ているもの、ふるまいのすべてに、凝縮されたヨーロッパそのものを見るように思った。”という一文にあらわれた、こういう彼女の眼差しが大好きです。

 須賀敦子のローマ 大竹明子著
須賀さんの記したローマをたどる、大竹明子さんの写真と文章による1冊。

塩野七生さんの著書は、ここ最近のものを除いてほぼ全て読破しています。昔のものは古本屋やネットを徘徊してまで入手して、貪るように読んだ時期がありました。塩野さんの描く偉人たちから歴史に思いを馳せて見るローマと、須賀さんの視線を追うローマは、光と影のように異なる印象。
『須賀敦子のローマ』で写真に添えて引用されている、『時のかけらたちと『ユルスナールの靴』は、この秋に読んでみたいと思います。

弱かったり、貧しかったり、不幸の影から逃れられなかったりする人々や、イタリアの歴史の日陰にも、心を動かされる何かを感じる須賀さんの本を読んで、来年の旅のことを考えるのも悪くないですし。

『ユルスナールの靴』の帯より
-きっちり足に合った靴さえあれば、どこまでも歩いていけるはずだ。-
須賀さん自身、”いつかはじぶんにぴったりと合うような、そんな道が開けるはずだ。”と信じて待ち”ときには呼吸しつづけることだけをみずからに課していたローマでの二年間”があったと語っておられます。
どんな靴が自分にあうのか・・・?私はまだ探し物が見つかりません。ま、そのうちに、いつか必ず?


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