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The house of GUTTI [leggere -読書-]

1995年3月27日 マウリツィオ・グッチ 暗殺
古典的なマフィアの復讐手口にもみえたが、真相が解明されたのはそれから約3年後…。

殺人事件から幕を開けるこの本は、イタリアの超有名ブランド『GUTTI』創業時からの歴史を紐解きながら、事件の真相を明らかにしていくというノンフィクション作品

1921年、マウリツィオの祖父グッチオがフィレンツェで「グッチオ・グッチ鞄店」設立。順調に売り上げを伸ばしていき、息子アルドの代にはアメリカにも進出大成功を収める。
アルドは「涙を流してもいいが、攻めることは忘れるな!」というパワフルな人物。彼は小さな企業から出発し、たった20年程で、アメリカ・ヨーロッパ・アジアにまで販売網を持つ輝かしい帝国を築き上げた。

その光には「家族間の争い」という影がつきまとい、泥沼化。親子の間でさえもなじり合い、訴訟を起こすという激しいバトルの最中にも、アメリカでの収益を伸ばしていくGUTTIだが、さらに脱税容疑をかけられるというオマケがつく。なんとアルドは、天才的な勘だけで会社を経営しており(!)、経理は決まった手続きもなく無秩序状態。(どんぶり勘定かっ!?なんてイタリア的なんだ…)

次々と問題勃発のハチャメチャ状態の中、アラブ系投資会社と手を組み、策を弄して3代目社長に就任したのがアルドの甥、マウリツィオ。「一代目が創業し、二代目が発展させ、三代目で大きく成長するかどうか試される。という諺がイタリアにはある。」と言った彼は、なんと会社を大きく傾かせてしまう(!)

半端じゃない状況を分かっているのか?!と唖然としてしまう言動も、やっぱりイタリア的(笑)
彼は経営の才能はイマイチだが、非常に魅力的な人物であるため、周囲は翻弄されつつも支える。
しかし1993年(暗殺される約2年前)に、とうとう彼もGUTTIを去ることに…。

マウリツィオ暗殺事件の解決を挟みながらも、グッチ一族が一人もいなくなったGUTTIが奇跡的な大復活遂げ、巨大なグループ企業へと成長する物語は続く。争いは「家族間」から「企業間」へと移り、こちらもまた壮絶極まりない。敏腕ビジネスマン達が繰り広げるのは、買収合戦

著者はここで、“GUTTIの歴史はヨーロッパで創業した家族経営企業や個人企業の悪戦苦闘を象徴している”という。“今彼らが直面しているのは非常に不条理な情勢で、成功のために支払わねばならない代価は、しばしば自分が興して育てた会社を手放すことになる“と…。

エグイ…しかし、現在高級ブランド品市場でGUTTIが揺るぎない地位を獲得しているのも事実。

あわせて、『イタリア人の働き方 ―国民全員が社長の国―』もどうぞ。

こちらは初期のGUTTIと同じく小規模ではあるものの(むしろ小規模であることを守っている)、個性的で仕事を愛しているイタリア人達が紹介されています。
「第6章 イタリアならではの職業」では、エクソシストやパパラッツィも登場しますよ! 

こちらの著者(イタリア人)は、「成功することは、すなわち金銭的に裕福になることと同一ではない。本当の成功は、自己実現できたかどうかにあるのではないか。」と言っています。

GUTTIのケースとどちらが良い・悪いというのではなく、対照的な2つを知るのは面白いです。遠い異国のお話ですが、他人事ではなく、会社はどう生き残り、個人としてはどう働くかということを考えさせられます。とりあえず私は、どうあろうと、GUTTIもイタリア人も含めた、まるごとのイタリアが大好きなことに変わりはないんですけどね(笑) ←どうしようもないオチですみません(^^;

どさくさまぎれにDVDのことも書いちゃいます。

1月にAuto saloneに行った時から気になっていて、やっと観ました!(過去記事はコチラ
私は時間があれば本を読む人で、映画は滅多に観ないのですが、これは最高に面白かったです♪
イカツイ車が次々に大破し、鉄屑と化していく様はまさにワイルド(笑) スゴイですっ!!

細かい部分ですが…FBI捜査官が潜入捜査をするために選んだGT-Rが右ハンドルでした。なぜ??とプチ疑問を抱きつつも、アメリカでも右ハンドル車に乗る人がいるんだなぁと、受け入れかけたのですが…。やっぱり気になるので調べてみたら、アメリカでは基本的に右ハンドル禁止なんですね。(郵便局の車は、ポストに入れやすいという理由で右ハンドルらしいのですが)
うっかり「どっちもアリなんだ!」と納得しちゃうところでしたよ(^^; 


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comment 28

manzo

ブランドだけがひとり歩きしちゃったんですね。
今のGUCCIには創業者の精神のかけらもないけど、
その名前だけで売れるということでしょうか。
by manzo (2010-03-06 23:26) 

jinn

キリン・サントリーの経営統合破談を思い出しました。
良い悪いの話ではありませんが、
創業者一族の権益を守るのか、株主の権益を優先するのかで、
会社経営の舵取りは大きく変わってきますよね~
by jinn (2010-03-07 00:18) 

jinn

↑ちょっと話がそれました(笑)
by jinn (2010-03-07 00:26) 

斗夢

ヨーロッパには想像している以上に個人経営の
社名に姓名が付いている小さな会社が多いですね。
by 斗夢 (2010-03-07 06:00) 

Qoo

ブランド物には全く縁がないけど
GUTTIは知ってる
そんな歴史があったんですね
面白いものですね
by Qoo (2010-03-07 06:45) 

fullcon

ベタですが、グッチ裕三は出てこないですね?
by fullcon (2010-03-07 10:00) 

michie

初めてイタリアへ行った時、お昼休みは何時間も休んでいるし、
お店開いていても、の~んびりしていて、とっても羨ましく
思いましたが…色んな問題がはらんでいたりするんですね(><)
親子で訴訟!?どっかの会社みたい。。。^^;
by michie (2010-03-07 11:32) 

たぁ

GUTTI好きなんですけど、結婚して子供が生まれてから一切買えなくなりました(^ ^;
財布は15年くらい使ってます♪
by たぁ (2010-03-07 12:46) 

pica

恥ずかしながら、GUTTI の歴史は知らなかったので
そんなことが…と興味深く読ませていただきました。

>まるごとのイタリアが大好き
  わかります!そーいうもんだと勝手に思ってます。
  私自身も好きなものに対してそんな感じ(〃▽〃)
by pica (2010-03-07 17:03) 

おねえさん

成功のために支払わねばならない代価・・・悪魔との裏取引だったり・・
正義だけでは上に立つことが出来ない・・・必要悪も真なり・・と・・
だから、私は今のこの立ち位置がちょうどいいと思って生きてます(^-^)
Paceさんは、もっと階段を上ってゆくのですよネ♪応援してます(^_-)-☆
あらら・・私も話がそれてるし・・^_^;ゴメンね♪

by おねえさん (2010-03-07 22:41) 

Pace

>manzoさん
GUTTI一族は分裂状態であっても、各自がそれぞれ考えるスタイルを
提案していくことに心を砕いたという印象が持てますすが、一族が去った
後はもう、いかに利益を上げるかが最優先事項になっているようですね。
内部事情が変わり果てても売れ続けているのは、それまでに作られた
ブランドイメージを上手く利用したビジネスの賜物でしょうね…。

>jinnさん
全然それていませんよ!むしろ私の記事に纏まりないのが悪いのです。
私も読みながら、ここ数年新聞を賑わしている合併や買収が頭の中を
よぎりました。2代目までのGUTTIは、サントリーに似ている感じです。
ほんと、良い悪いの話ではなくて、今の時代は生き残るのがいかに大変かを
改めて考えさせられる内容でした。

>斗夢さん
イタリア以外のヨーロッパの国にはあまり詳しくないのですが、
姓名を社名に付けるの会社が多いんですね(’’)
グッチ一族もそうだったようですが、姓名が付いた会社はより愛着が湧く
みたいですね。ただ、グッチ家の人々は、一族の者がいない今のGUTTIを
若干苦い思いで見ているそうです。…諸刃の刃ですね。

>Qooさん
私は、ブランド物には興味はあるのですが、お金がないんです(笑)
GUTTIはイタリアのブランドの中でも、”超”有名ですよね♪
しかも日本は、GUTTIがよく知られている国の代表格かと思います。
バブルの時代、日本人がGUTTIを大量購入していて、かなり売り上げに
貢献したことも書かれていました。

>fullconさん
残念ながら、登場しませんでした(^^;
そういえば、グッチ裕三の「グッチ」は何にちなんで付けられたの
でしょうか?今頃になって疑問が湧いてきました(笑)

>michieさん
ミラノやローマは、今は日本と同じように営業しているお店が多いですが
南の方ではまだお昼休みを長くとっていますね。日曜はあちこちのお店が
閉まっていたりもするので、曜日を考えて行動しないと困惑します(^^;
GUTTIの例は極端かもしれません。「イタリア人の働き方」にあるような
小規模経営がイタリアでは圧倒的に多いのが実情のようです。

>たぁさん
愛用のお財布がGUTTIなんですね♪
お子様方にお金がかからなくなったら、GUTTI三昧復活して下さいませ♪
イタリアブランドの品を使いこなす男性、カッコいいと思います!
将来はジローラモ風ちょいワルおやじを目指してください!!
 ↑イタリアマニア発言をお許し下さい(笑)

>picaさん
私自身もこの本を読むまで、こんなバトルがGUTTI内で繰り広げられて
いたとは知りませんでした(^^; 分厚い本ですが、夢中になって
ほぼ一気読みしました!とにかく、泥沼っぷりがスゴイです(笑)
”好きなモノ”って、やっぱり丸ごと愛おしくなりますよね♪
多少のマイナス面があっても、嫌いになれないんですよね~(^^)

>おねえさま
”成功”の考え方も人それぞれですよね。ビジネスの大舞台で頭脳明晰
かつタフな方が活躍しているのも凄いと思いますが、私は「イタリア人の
働き方」のほうに惹かれます。おねえさまも、自分のお仕事を愛して
らっしゃる方とお見受けしますので、応援させてください♪
私は…身の丈にあったやり方で、地味に精進していきます(^^;
by Pace (2010-03-07 23:23) 

BPノスタルジックカーショー

おはようございます。

>「成功することは、すなわち金銭的に裕福になることと同一ではない。本当の成功は、自己実現できたかどうかにあるのではないか。」

ホントホントですね!!
by BPノスタルジックカーショー (2010-03-08 05:18) 

mau-mauu

ちょっと前に流行った「鈍感力」っていうのを
日本人よりはそのまま体現してる人種な感じがします。
お金はそこそこあれば幸せです♪
でももらう分はしっかり働きたい。。。^^
by mau-mauu (2010-03-08 06:42) 

kelly

GUTTI~1つも持ってません、、、、
しかし企業(家業)を継承していく事の難しさ、、、

我家は兄が家業を4代目として継いでいます。
親父は昔から兄弟同じ仕事はさせない、、、といい続けてます。

実際、僕は実家の家業に一切の関わりを持っていません。

しかしながら、兄弟はめちゃ仲良しです。
長男絶対主義の商売気質な親父ですが、とても尊敬してます。
by kelly (2010-03-08 10:28) 

お茶屋

ワイルドスピードmax、見るの忘れてました^^;
車好きとしては、見ておかねばと・・・
by お茶屋 (2010-03-08 11:38) 

ikuko

ハウス・オブ・グッチ、面白そう〜〜!!
今の本が終わったら、次読もうかなぁ^^
by ikuko (2010-03-08 14:21) 

Pace

>BPノスタルジックカーショーさん
「成功することは…」は、とても印象に残った文章です♪
収入は多いにこしたことはないのですが(笑)、お金だけがが「成功」の
尺度というのはやはり寂しいですよね。
私にとって「自己実現」が何なのか、まだよく分かっていないのが
困りものですが、手さぐり状態でも頑張ってみたいと思います。

>mau-mauuさん
「鈍感力」は読んでいないのでちょっと的外れになっちゃうかも
しれませんが、彼らがめげない人物であるのは確かなようです。
私だったら凹んじゃうなぁという状況でも、前向きだからスゴイ(^^;
大金欲しい…と考えることもありますが、変な妄想はやめにします(笑)
”もらう分はしっかり働きたい”というお言葉に誠実なお人柄が
表れていますね(^^) 私も見習いたいと思います!

>kellyさん
この本を読み終えた今、「兄弟同じ仕事はさせない」というお言葉に、
深い意味を感じます。仕事で近くにいすぎると、本人たちが望まなくても
トラブルになってしまうのは、避けられないことなのかなと思いました。
ご兄弟がいつまでも仲良くと強く思うからこそ、先を見越して考えられた
方針なのでしょうね。とっても素敵なお父様ですね(^^)

>お茶屋さん
2月にDVDが出て、やっと観ることができました。
最初から最後まで、テンション上がりっぱなしになりますよ♪
お茶屋さんとこにはストライクな車がありますし、観た後はきっと
すぐに走りに行きたくなることと思います(笑)
…お気をつけ下さい(^^;

>ikukoさん
お勧め本ですので、ぜひぜひ(^^)
書中に何度か登場する「イタリアの典型的な家族経営」については
「イタリア人の働き方」が参考になるかと思います♪
イタリア人の考え方や生き方は、いつも刺激になります。
ikukoさんもイタリアマニアになりましょう!!(笑)
by Pace (2010-03-08 21:50) 

mau

なぜか頭に浮かんだのが「王様の仕立て屋―サルト・フィニート ー」って漫画・・・・・知ってらっしゃいますか?
いつも漫画の話ばかりですみません・・・・
by mau (2010-03-08 23:53) 

Tomo

イタリア人の働き方に関する本(タイトル忘れた・・・)がまだ読みかけなのを思い出しました。服飾関連の日本人が書いた本でした。ちょっと探し出して読んでみようと思いました。
イタリア人の友人はいるのですが、仕事でがっつり一緒に働いたことはありません。どんな感じなんでしょうねえ。
by Tomo (2010-03-09 08:05) 

mykaira

やっぱり海外へ行ったりイタリア人を見てるとと日本人は勤勉でよおく働くなって思います。Guttiの本面白そうですね。映画化されるといいな。
by mykaira (2010-03-09 19:10) 

Pace

>mauさん
「王様の仕立て屋―サルト・フィニート ー」は知らなかったので、
調べてみました! ナポリで活躍する日本人が主人公なんですね。
あらすじを読んだだけですが、とっても面白そう(^^)
読んでみたいです♪ 私は漫画のことには詳しくないので、
こうして教えていただけると嬉しいです☆

>Tomoさん
その本、気になります~!ぜひ読破して、記事にして下さい♪
イタリア人と一口に言っても色んな性格の人がいますから、どんな
タイプと一緒になるかによっても変わってきそうですよね(’’)
多くの場合、日本人がストレスを受ける側になりそうな…(^^;
でも、一度はイタリア人と働く経験してみたいです。

>mykairaさん
日本人・イタリア人、それぞれの国民性と働き方には違いがあって
比べてみると面白いですね♪ 
この本を映画化…すっごく長時間になりそうですよ(^^;
でも、この壮絶なバトルを映像で見てみたいという好奇心も湧いて
きました~!! 映画化されるように願掛けしてみましょ♪
by Pace (2010-03-09 22:31) 

ちか

お!戻ってきた~イタネタだ♪
創業者の苦悩があり、逆境を乗り越えアノ位置へと…
それはそれですごい!と素直に思った私です。(^^ゞ
なるほど!自己実現、出来るように頑張りま~す!
by ちか (2010-03-10 16:48) 

Pace

>ちかさん
自分でもイタリア久しぶりだなぁ~と思いました(笑)
どこの会社にもそれぞれのストーリーがあるかと思いますが、GUTTIの
話はスケールも泥沼っぷりもデカイです!いい勉強になりました。
自己実現、私はまず、自分が何者か知るところから始めないといけない
ような気がします(^^; 難しいけど、頑張りたいです。
by Pace (2010-03-10 22:43) 

くろた

イタリアが舞台のノンフィクション、
おもしろそうですねー。
by くろた (2010-03-11 11:37) 

hatsu

どっちも読んでみたいな~♪
以前仕事をした家具販売会社の人が、
イタリアの家具職人さんを大絶賛していました。
日本の職人さんもそうですが^^
仕事にこだわり、仕事を愛している人って、
素晴らしいですょね。
私も家事を極めたーい、道は険しそうですが(笑)。
by hatsu (2010-03-11 14:35) 

Pace

>くろたさん
出発点はイタリアですが、2代目が手を広げてアメリカも舞台となり、
その後はアラブ系の投資会社やフランスの某有名ブランドなども
巻き込んでの大騒動になります(笑)
事実は小説よりも奇なり…というのを目のあたりにする思いで読みました。
ボリュームある本ですが、面白いのでお勧めです(^^)

>hatsuさん
”モノ作り”に関しては、イタリア人も凄い情熱を持っているように思います。
この辺は日本人の職人と似たところがあるかもしれませんね(^^)
どんな仕事であれ、一生懸命に取り組めるものがあるって素敵ですよね。
”家事を極める”←やることが沢山あって、幅も広いので大変そうですが
hatsuさんの目標も素晴らしいと思います♪ 応援していますね!

by Pace (2010-03-11 22:02) 

Ranger

日本は、大企業の傘下に下請け中小企業の構図があるんだけど
ヨーロッパには、小企業憲章があって、小企業が独自で頑張れる力強いところが素晴らしいですよね
by Ranger (2010-03-12 16:37) 

Pace

>Rangerさん
恥ずかしながら、「小企業憲章」を知らなかったので調べてみました。
日本にもたくさんの頑張っている中小企業があるはずですから、このように
応援するシステムがあればいいのに…と思いました。
私が無知なだけで、日本にも独自の何かがあるのかもしれませんが、
ヨーロッパの良いところを見習っていけたらいいですよね(’’)
by Pace (2010-03-12 23:13) 

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